共有名義人が自己破産したら受ける影響は?対処法として任意売却についても解説

共有名義で不動産を所有していると、共有者が自己破産してしまうこともあります。

自己破産という言葉にはネガティブな印象がつきまとうため、ひとつの不動産を共有している自分にも影響があるのではないかと心配になることでしょう。

また、共有者が自己破産したことで持分を競売にかけられるのではないか、自分の持分はどうなってしまうのかと具体的な不安を抱いている人もいるかもしれません。

そこで今回は、共有名義人が自己破産したら受ける影響と共有名義人が自己破産した場合の対処法について、解説します。

まずは、共有名義人が自己破産したらどのような影響を受けるのかを具体的に把握することが大切です。

自身が受ける影響を理解したうえで、被害を最小限に抑えるための対処法も見ていきましょう。

共有名義人が自己破産したら受ける影響

不動産を共有するきっかけはさまざまです。

共有を開始した当初は共有者間の関係も良好で、お互いに相手に迷惑をかけるつもりもないかもしれません。

しかし時間の経過と共に状況が変わることもあります。

もしも共有名義人が自己破産してしまうとどうでしょうか。

何か影響を受けるのではないかと心配になりますね。

誰かと共有している共有不動産も、大切な財産です。

誰かに脅かされることなく守りたい気持ちをもつのは当然のことでしょう。

まずは、共有名義人が自己破産した場合に受ける影響を見ていきましょう。

債務を免責してもらう方法が自己破産

自己破産とは借金を免責してもらう方法です。

免責とは義務や責任を問われないことを意味します。

つまり裁判所で自己破産の手続きをすると、一部の債務を除いて返済の必要がなくなります

借金に苦しんでいる人にとって救済手段となりますが、不動産などの財産は換金して債権者に渡さなければいけません。

自己破産者の持分のみ競売にかけられる

自己破産をした人が共有不動産を所有していると、その人の持分のみが競売にかけられます

例えばAさんとBさんで不動産を共有しており、Aさんが自己破産したならAさんの持分のみが競売にかけられます。

不動産全体が競売にかけられるわけではないので、Bさんの持分はBさんが所有した状態が続きます。

第三者と共有になる可能性がある

Aさんの持分のみが競売にかけられるのであれば、Bさんは安心するかもしれません。

自分の持分まで競売にかけられるのではないかと心配していたBさんにとっては、安心できる情報です。

しかし、Bさんに何も影響がないわけではありません。

Aさんの持分が競売にかけられるということは、競売にかけられたAさんの持分を誰かが落札するということです。

そうなるとBさんは見ず知らずの他人と不動産を共有することになります。

ここでBさんにも影響が出てきます。

どのような影響があるのか見ていきましょう。

売却には共有者の同意が必要

例えばAさんとBさんが兄弟だった場合、何でも相談できる兄弟だから不動産を共有していたのかもしれません。

しかし他人との共有となっては、今までのように不動産の管理や処分について気軽に相談ができなくなってしまいます。

他人との共有は複雑だから売却したいと考えても、簡単にはいきません

共有不動産を売却するには共有名義人全員の同意が必要となるからです。

Bさんが売却したいと考えても新たな共有者が売却したくないと言えば売却ができず、Aさんと共有していたときのようにはいかなくなります。

また、新たな共有者が近くに住んでいるとも限りません。

売却に反対するわけではなくても海外に住んでいるので手続きが進まないということもあります。

共有物分割訴訟を起こされるかもしれない

新たな共有者が共有物分割訴訟を起こすことも考えられます。

共有物分割訴訟とは共有している不動産を分割する手続きです。

建物は物理的に分割ができないため、建物全体を競売にかけて売却代金を配分することになります。

例えば他人との共有に不便さを感じながらも、共有不動産を手放す気はなかったとします。

新たな共有者から売却を提案された際にも、応じずにいました。

すると新たな共有者は共有物分割訴訟を起こし、裁判所の判断によって建物を競売にかけなければいけないことになります。

つまり、共有物分割訴訟を起こされると意思に反して建物を手放さなくてはいけなくなるのです。

自分の持分は競売にかけられないと安心していたBさんですが、新たな共有者が起こす行動次第ではBさんの持分も含めて競売にかけられる可能性も出てくるのです。

収益物件の場合は第三者にも収益を分配する

共有不動産を誰かに貸している場合、家賃収入が発生します

収益は第三者である新たな共有名義人にも分配しなければいけません。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う
参照:e-gov法令検索 民法第709条

そして、収益物件であれば管理・維持に時間や労力がかかるため、誰がどのように管理・維持をするのかも決めなければいけません。

日頃から管理をしている人としていない人では収益をどのように分けるかでトラブルになることも考えられます。

専有状態なら賃料を求められる

実家を親から相続しAさんとBさんが共有していた場合、Aさんが住んでBさんが別の場所に住んでいることがあります。

持分はAさんもBさんも1/2ずつ有しているにもかかわらず、Aさんが専有しているからといってBさんに家賃を払わずにいるケースがあります。

実家などの相続ではよくあることかもしれません。

これはAさんが実家を守ってくれているからなどの理由が考えられます。

しかしBさんの持分が第三者の手に渡ってしまうと、新たな共有者には実家を守るなどの感情はないため今までのようにはいかなくなります。

Aさんが専有を続けるなら、Bさんの持分を手にした新たな共有者は持分の使用を妨げられている状態なので金銭の請求(不当利得返還請求)ができるのです。

今までは家賃など払わずに住んでいたAさんですが、専有を続けるなら家賃を払わなければいけません。

共有持分が第三者の手に渡ってしまったらどのような影響が出るのか、詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
参照:共有持分が第三者に譲渡される

共有物分割訴訟については以下の記事で詳しく解説されていますので参考にしてみてください。
参照:共有物分割訴訟

住宅ローンの連帯債務者なら不動産を手放す可能性が高くなる

住宅ローンの連帯債務者になっている不動産を共有している場合には、別の問題も生じます

例えば夫婦で住宅を共有していたが離婚し、元夫が自己破産するケースが想定できます。

元夫の持分は競売にかけられ、妻の持分は競売にかけられません。

ただし、競売にかけられた元夫の持分を他人が落札すれば妻は他人と不動産を共有することになります。

ここまでは先ほど説明した流れですね。

しかし、ここで想定するケースは住宅ローンの連帯債務者になっているというリスクが加えられています

例えば夫が住宅ローンを組み、住宅ローンの連帯債務者に妻がなっていることがあります。

この場合、元夫が自己破産したなら連帯債務者である元妻が住宅ローンの返済をしなければいけません。

金融機関から住宅ローンの一括返済を求められても、元妻は支払えないことが多くあります。

そうなると元妻も自己破産する可能性が出てきてしまいます。

元夫が自己破産しても元妻は持分を守れますが、住宅ローンの連帯債務者になっているなら不動産を手放す可能性は高くなるでしょう。

共有者が自己破産した場合の対処法

共有名義人が自己破産した場合に受ける影響について把握できたでしょうか。

ここからは、自身が受ける影響を最小限に抑えるための対処法について解説していきます。

共有名義人が自己破産した場合、大きく2つのケースに分けて対処法を考えなければいけません

2つのケースとは以下のように分けられます

  • 相続などにより住宅ローンが残っていないケース
  • 元夫婦などにより住宅ローンが残っているケース

つまり、住宅ローンが残っているかどうかで対処法は異なるということです。

それぞれの対処法を詳しく見ていきましょう。

住宅ローンが残っていない場合の対処法

自己破産者の持分は競売にかけられると説明してきました。

自分の持分は競売にかけられないとしても「他人と共有になるのが嫌だ」「共有物分割訴訟を起こされるのは困る」などの理由から、自己破産者の持分が競売にかけられるのを防ぎたいと考えることでしょう。

自己破産者の持分を競売にかけずに済む方法は2つあります。

  • 共有持分を破産管財人から買取る
  • 破産管財人の了承を得て任意売却する

不動産を手放してもよいのか、手放したくないのかによって対処法は異なります。

詳しく見ていきましょう。

共有持分を破産管財人から買取る

不動産を手放したくないと考えるなら、自己破産者の持分を買取るという方法があります。

ここで気をつけなければいけないのは、自己破産前に買い取らないということです。

例えば兄弟で共有しており、弟が自己破産するかもしれないと相談してきたとします。

弟の持分を競売にかけられたくないからといって、自己破産の手続き前に兄が弟の持分を買取ると詐害行為とみなされてしまう可能性があります。

詐害行為とは財産を減少させようとする行為のことです。

買取りではなく、贈与だとしてもいけません。

自己破産の手続きを開始すると、裁判所は破産管財人(弁護士)を専任します。

選任された破産管財人は債権者の代表として、破産者の財産を現金に換えて債権者に配当します。

このとき破産者の財産に共有不動産が含まれていた場合、通常は他の共有名義人に買取りの意思確認をします。

つまり兄弟で共有している場合、弟が破産者となれば破産管財人は兄に買取りの意思を確認してくれるということです。

共有名義人であれば破産者の持分を買取ってくれる可能性が高いからです。

買取りの意思があるなら、まずは破産管財人からの打診を待ちましょう

破産管財人の了承を得て任意売却する

不動産を手放しても構わないと考えるなら、破産管財人の了承を得て任意売却するという方法があります。

不動産を手放したくはない、競売にかけられたくはないけれど買取資金を用意することができないという場合もこちらの方法です。

任意売却と競売とでは売却価格に差があり、任意売却の方が高値で売れます。

競売は特殊物件として価値が下がってしまいますが、任意売却であれば破産管財人の了承が必要となるものの通常の市場で売却ができるからです。

任意売却の専門業者に依頼し、破産管財人の許可を得て進めていきましょう

任意売却のメリット・デメリット、手順などは以下の記事で詳しく解説されていますので参考にしてみてください。
参照:任意売却のメリット・デメリット

住宅ローンが残っている場合の対処法

連帯債務で住宅ローンが残っている場合、共有名義人が自己破産すると連帯債務者は住宅ローンの一括返済を求められてしまいます。

しかし、そんなお金は用意できないというのが一般的です。

例えば夫婦の連帯債務で住宅ローンが残っており、離婚となったとします。

妻と子供は家に残り、別の場所に住む夫が離婚後も一部の住宅ローンの支払を続けてくれていました。

ところが元夫が自己破産したため、連帯債務者である元妻が住宅ローンの一括返済を求められるというケースが考えられます。

この場合、一括返済できなければ妻も自己破産に追い込まれてしまいます。

そうなることを防ぐためには、家を売るのが妥当な選択となるでしょう。

しかし家をどうしても手放したくないという事情を抱えていることもあります。

家を売って住宅ローンを返済する方法と、家を売らずに済む方法どちらも見ておきましょう

破産管財人の了承を得て任意売却する

住宅ローンが残っていても、破産管財人の了承を得れば任意売却は可能です。

妻まで自己破産に追い込まれないよう、家を売却して得たお金で住宅ローンを返済しましょう。

家を手放さなければいけないという痛みは伴いますが、競売にかけられるよりも高値となるため、家の売却価格で住宅ローンの残債を返済できる可能性があります。

まとまったお金を用意できないため自分まで自己破産してしまうのでは……という不安を抱えていた人は、任意売却を検討しましょう

自己破産者の持分買取後に一括返済する

家をどうしても手放したくないという事情があるなら、自己破産者の持分買取後に一括返済するという選択肢もあります。

例えば元夫の持分が500万円で、住宅ローンが1000万円残っていたとします。

元夫の持分500万円を破産管財人から買取り、住宅ローンの残り1000万円を一括返済します。

すると家を手放さずに済みます。

しかし資金があるのが前提となり現実的には難しい方法でしょう。

妻に資金力がある、親の援助を受けられるなどの環境であれば、住み慣れた家を手放さずに住むので検討したい方法です。

まとめ

自己破産した人が共有名義の不動産を所有していた場合、前提として破産者の持分のみが競売にかけられます

しかし他の共有名義人に影響が出ないわけではありません。

他人である新たな共有名義人との共有が始まり不自由さを感じることでしょう。

新たな共有名義人が共有物分割訴訟を起こせば、回り回って競売の話しが持ち上がることにもなります。

連帯債務で住宅ローンが残っている場合であれば、自分まで自己破産に追い込まれる可能性や家を手放さなければいけない可能性が出てきます。

共有者の自己破産がきっかけで自分の財産にまで影響を及ぼされるようでは、理不尽な思いを抱くことでしょう。

しかし自身に及ぶ影響を最小限に抑えるためには、最善の対処法を冷静に選択していくことが大切です。

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