【親子リレーローン】共有持分の割合はどうなる?不動産を相続したときの遺産分割方法も解説

不動産を親子で購入する際に、親子リレーローンを利用する人は珍しくありません。

親と子それぞれが補い合いながらローン返済ができるという点が大きなメリットです。

しかし単独名義で購入しないなら、その不動産は共有名義不動産となり共有持分の割合を設定しなければいけません。

普段聞き慣れていない「共有持分の割合」を設定するにはどうしたらよいのか、不安を抱えている人は少なくないことでしょう。

そこでこの記事では、親子リレーローンで購入した場合の持分割合について解説します。

結論を先に言うと、この場合の持分割合はローン比率に合わせるのが一般的です。

なぜローン比率に合わせるのが一般的なのかを具体的に解説していきます。

そして「親子リレーローンで購入した共有名義不動産は相続が発生するとどうなるのか」を心配している人もいるかもしれません。

相続が発生した場合、その共有持分に対して取れる方法は4つあります。

4つの方法も解説しますのでぜひ参考にしてください。

親子リレーローンで購入したら共有持分の割合もローン比率に合わせる

親子リレーローンで購入した不動産は共有名義不動産となり、親と子がそれぞれ持つ共有持分の割合を決めなければいけません

そこで、「親子で同居するのだから半分ずつにしよう」「いずれ子どものものになるから子どもの持分を多くしておこう」などと考えるかもしれませんが、共有持分の割合を感覚的に決めると損をしてしまいます。

持分割合は贈与税が発生しないよう出資額に合わせるのが一般的です。

これから親子リレーローンを組もうとしている人もいるかと思いますので、親子リレーローンの仕組みから解説し、なぜ出資額に合わせるのが一般的なのかも具体的に解説していきます。

親子リレーローンの仕組み

まずは親子リレーローンの仕組みを理解しておきましょう。

親子リレーローンは親と子で1つの住宅ローンを契約し、親から子へと返済のバトンを渡すローンのことをいいます

親子リレーの返済の流れ

親子リレーでは二代に渡ってローンの返済期間を定める

親は高齢のため返済期間を確保できない、子の収入だけでは住宅ローンを組めないという場合に検討される住宅ローンです。

二世代に渡り返済をリレーするため、親子リレーローンと呼ばれています。

親子ペアローンとの違い

親子で住宅ローンを借り入れる方法にはペアローンもあります。

親子リレーローンとペアローンには違いがあるので、混同しないよう注意しなければいけません

  親子リレーローン ペアローン
住宅ローンの契約数 1つの住宅ローン契約 2つの住宅ローン契約
返済方法 親から始まり子に引き継ぐ 親と子、同時に返済開始
団体信用生命保険 金融機関による 親も子も加入できる
住宅ローン控除 持分に応じてそれぞれ適用 持分に応じてそれぞれ適用

親子リレーローンは1つの住宅に対して1つの住宅ローンを親子で契約しますが、ペアローンは1つの住宅に対して親と子がそれぞれ住宅ローンを契約します。

親子リレーローンは親から返済が始まり子へと引き継がれますが、ペアローンは同時に返済が始まりそれぞれが完済しなければいけません。

また、団体信用生命保険の加入にも違いがあります。

団体信用生命保険に加入していると、ローン契約者がローン返済中に死亡・高度障害などによって返済できなくなった場合に保険金によって住宅ローンが完済されます。

団体信用生命保険の加入は親子リレーローンだと金融機関によって扱いが異なり、親と子のどちらか一方しか加入できないこともあれば、親子両方が加入できることもあります。

ペアローンであれば親も子もどちらも加入できます。

そして住宅ローンを利用して家を購入したときに受けられる住宅ローン控除は、親子リレーローンであってもペアローンであってもそれぞれの持分に応じて適用されます。

親子リレーローンとペアローンのメリット・デメリットについてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
参照:親子リレーローンとペアローンのメリット・デメリット

贈与税が発生しないよう持分割合は出資額に合わせるのが一般的

「高年齢でも住宅ローンを組みやすい」「返済期間が長くなるので月の負担額が小さくなる」など、親子リレーローンにはメリットがあります。

しかしここで注意しなければいけないことがあります。

親子リレーローンを利用し、住宅取得のために2人が費用を負担したのなら、住宅の名義も2人にしなければいけないとうことです。

親と子で費用を負担したのであれば住宅の名義も親と子の共有名義にしなければいけません。

共有名義不動産には共有者それぞれに所有権があり、この権利のことを「共有持分」といいます。

所有権の割合のことは「持分割合」といい、例えば親2/3(3分の2):子1/3(3分の1)と表します。

共有名義にすると持分割合を必ず決めなければいけません

そこで持分割合をどのように設定するか悩む人が多いのですが、登記手続きではどのようにも設定することができます。

しかし住宅取得にかかった費用を無視して持分割合を決めてしまうと、税金面で問題が発生するので注意しなければいけません。

例えば5,000万円の住宅を購入するため親が3,000万円(費用の3/5)、子が2,000万円(費用の2/5)負担したとします。

すると持分割合も親3/5:子2/5となります。

ところが一緒に住むのだから持分は半分ずつにしたいと考え、持分割合を親1/2:子1/2と設定してしまうと贈与があったとみなされてしまうのです。

持分割合1/2ずつということは、親も子も2,500万円を負担したことになります。

実際には子は2,000万円しか負担していないため、差額である500万円は親から子への贈与があったとみなされてしまうのです。

登記の手続き上は持分割合を自由に設定できますが、贈与税がかかることを考え持分割合は出資額に合わせるのが一般的です。

年間の贈与額が110万円以下なら控除される

持分割合と出資額の比率が異なると贈与税が課されますが、贈与税には年間110万円の基礎控除があります

贈与された額が500万円であれば500万円-110万円=390万円が課税対象です。

この場合の税率は15%となり贈与税額の計算は以下のようになります。

390万円×15%-10万円=48.5万円

参照:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

年間110万円の基礎控除があるとはいえ、不動産の取得には高額な費用がかかるため税金も大きくなります。

このことから、基礎控除があることを考慮しても持分割合と出資額は揃えた方がメリットは大きくなるケースがほとんどです。

親子リレーローンの返済中でも持分比率の変更は可能

よく分からないまま持分割合を設定してしまったという人は、今からでも変更できるのなら変更したいと思うかもしれません。

親子リレーローンの返済中であっても、持分割合の変更は可能です。

持分割合は登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されています。

まずは持分割合を確認し、変更が必要だということなら手続きを進めましょう。

ただし住宅ローンの返済中は抵当権が設定されています。

勝手に持分比率を変更しては契約違反となってしまうので、あらかじめ住宅ローンを借入れている金融機関に相談しておきましょう。

持分割合を変更する手続きは以下の2種類があります

  • 持分割合を訂正する「所有権更正登記」
  • どちらか一方が持分を手放す「持分移転登記」

どちらの手続きをするかは、持分割合をどのように変更したいのかによって変わってきます。

詳しく見ていきましょう。

持分割合を訂正するだけなら「所有権更正登記」

「所有権更正登記」は、持分割合を訂正したい場合におこないます

親子どちらも持分がゼロになることはなく、それぞれが共有持分を持ち続けながらその割合だけを変更したい場合の登記です。

例えば「住宅購入時に登記した持分割合が間違っていた」「贈与税がかからないよう持分割合を少し訂正したい」というケースのときに、親1/2:子1/2から親2/3:子1/3への訂正などが考えられます。

所有権更正登記は司法書士などの専門家に依頼した方が確実です。

費用の目安は3万円~となっています。

専門家に依頼せず自分で申請することも可能ですが、登記申請書にはいくつも種類があるため法務局の窓口でアドバイスをもらいながら進めた方がよいでしょう。

登記申請書の他に必要な書類は以下のとおりです

  • 本人確認書類
  • 全部事項証明書
  • 印鑑証明書
  • 実印

全部事項証明書とは不動産登記簿の内容が全て記載されている証明書です。

登記申請書は法務局のホームページでダウンロードできますし、全部事項証明書もオンラインで申請できます。

臨機応変に活用するとよいでしょう。

参照:法務局「不動産登記の申請書様式について」

参照:法務省「登記・供託オンライン申請システム」

所有権更正登記が必要なケースや具体的な流れについては以下の記事で詳しく解説されています。

参照:所有権更正登記

親子どちらか一方が持分を手放すなら「持分移転登記」

親子どちらか一方が持分を手放すなら「持分移転登記」をおこないます

所有権更正登記はどちらも持分を持ち続けながらその割合のみを訂正する登記ですが、持分移転登記はどちらか一方の持分がゼロになる登記です。

持分割合を間違えたので訂正したいというケースだけでなく、「親子リレーローンを解消したい」「亡くなる前に持分を子へ移しておきたい」というケースでおこなう登記です。

ただし親子リレーローンを解消するには1人用の住宅ローンに借換えなければいけません。

住宅ローンを借換えて持分移転登記も済ませれば、共有名義不動産から単独名義不動産になります。

持分移転登記も自分でおこなうことはできますが、司法書士などの専門家に依頼した方が確実です。

主な必要書類は以下のとおりです

  • 登記申請書
  • 登記原因証明書
  • 登記済証または登記識別情報
  • 納税通知書または固定資産税評価証明書
  • 住民票
  • 印鑑証明書

申請から1~2週間で登記手続きが完了し、完了証が発行されます。

持分移転登記の登記費用や税金について、詳しく解説されている以下の記事も参考にしてください。

参照:持分移転登記の登記費用や税金

共有持分も相続財産となり4つの方法を選択できる

親子リレーローンで住宅を購入した場合、親にも子にも持分があります。

心配なのは相続が発生すると親の持分はどうなってしまうのかということではないでしょうか。

親の持分は親の財産であることから、死後は相続財産となります。

相続人がローンを一緒に組んだ子ども以外にもいると、相続問題に発展するので気をつけなければいけません

相続財産が複数あれば「住宅は一緒にローンを組んだ子どもが相続する」ということで問題を解決できるかもしれませんが、相続財産が住宅しかないのであれば遺産分割が困難になります。

住宅を遺産分割するには以下の4つの方法があります

  • 現物分割する
  • 代償分割する
  • 換価分割する
  • 親の共有持分のみ売却する

それぞれがどのような方法なのか解説していきます。

現物分割する

住宅を分けることはできませんが、親の持分を分けて相続することはできます

例えば親と長男の共有名義不動産があったとします。

持分は親2/3:長男1/3です。

相続が発生し、相続人が兄弟2人だけだとしたら親2/3の持分を2人で分けます。

すると持分割合は長男2/3:次男1/3となります。

持分を公平に分けることはできますが、そこに住んでいない次男は持分を手に入れてもメリットをあまり感じることはできないでしょう。

再び相続が発生する可能性もあります。

兄が亡くなった、弟が亡くなったということが起こるとそれぞれの持分をさらに誰かが相続します。

持分がどんどん分割され共有名義人が増えると、権利関係も複雑化していきます。

代償分割する

代償分割は、親子リレーローンを組んだ子どもが親の持分を受け取る代わりに金銭を支払う方法です。

先ほどの例のように相続人が兄弟2人だったとします。

親の持分2/3の価値が1,000万円だったとしたら、兄が持分2/3を相続する代わりに弟に500万円を支払います。

弟の立場からすると住んでいない家の持分を相続してもメリットがないため、こちらの代償分割を求めるケースが多いでしょう。

この場合、持分は兄が全て所有することになるので共有名義不動産から単独名義不動産へと変わります

換価分割する

換価分割は共有名義不動産全体を売却し、売却益を相続人で分割する方法です。

代償分割では弟へ渡す資金を兄が用意しなければいけません。

資金を用意できないのであれば、共有名義不動産全体を売却する換価分割が選択肢となります。

ただしそこに住んでいない弟にとっては問題のない方法ですが、住んでいる兄は新たな住居を探さなければいけないというデメリットがあります。

親の共有持分のみ売却する

「現物分割ではメリットのない弟が納得しない」「代償分割では兄が弟へ渡す資金を用意できない」「換価分割で親と住んでいた家を手放すのは嫌だ」ということなら、親の共有持分のみを売却するという方法もあります。

不動産の売却はまるごと全部を売却するというイメージが強いですが、共有持分のみの売却も可能です。

親の持分2/3のみを売却し、売却益を分割します

この方法なら家を手放さずに済みますし、資金を用意する必要もありません。

しかし親の共有持分が第三者の手へと渡り、兄は第三者と共有することになります。

共有名義不動産の売却や建て替えには共有名義人の同意が必要となるため、そろそろ建て替えたいと考えたときに自由に建て替えることができないなどのデメリットもあります。

共有持分の相続はトラブルが起こりやすいため、生前整理をおこなう人が増えています。

生前整理の具体的な方法については以下の記事を参考にしてください。
参照:生前整理の具体的な方法

親子リレーローンで購入した共有名義不動産に関するQ&A

親子リレーローンで購入し持分が3/5:2/5ですが、固定資産税もこの割合で請求がきますか?

固定資産税の支払いに持分割合は関係ありません。連帯納税義務となり納税通知書が1通、代表者に届きます。どちらか一方が全額を負担するのか、持分割合に応じて負担するのか、共有者間で決めることになります。

親子リレーローンで購入し、建て替えが必要になった場合の費用負担はどうすべきですか?

共有名義不動産の場合、建て替え費用の負担割合も共有持分の割合をもとに決めましょう。持分割合と費用の負担割合が違うと贈与税がかかる可能性があります。

相続することになり親の共有持分を売却したいのですが、どこにお願いすればよいですか?

共有持分のみの売却であれば、共有持分の買取を専門としている買取業者へ依頼するとよいでしょう。買取実績をホームページなどで公開していて、弁護士や税理士などの専門家と連携している買取業者を選ぶと安心です。

まとめ

親子リレーローンで住宅を取得したなら共有名義不動産となり、共有持分の割合を決めなければいけません。

自由に決められる持分割合ですが、贈与税が発生するなどの不要な損をしないよう出資額に合わせて決めるのが一般的です。

よく分からないまま持分割合を決めてしまったが変更したいということなら以下どちらかの方法を選択しましょう

  • 持分割合を訂正するなら「所有権更正登記」
  • どちらか一方が持分を手放すなら「持分移転登記」

そして、共有持分に相続が発生したなら以下の4つの方法を選択して遺産分割することになります

  • 現物分割する
  • 代償分割する
  • 換価分割する
  • 親の共有持分のみ売却する

それぞれの立場により選択したい方法は異なるため、慎重に話し合わなければいけません。

共有名義不動産は単独名義不動産よりもトラブルが起こりやすくなります

リスクを最小限に抑えるには、どのようなことが想定されるかを事前に知っておくことが大切です。

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