共有持分のリスクとは?リスクを避けるためにできることとトラブル解消法

共有持分 リスク

共有持分にはリスクがあります。リスクがあることはなんとなく知っているという方も、具体的にどのようなことでトラブルになるのかを知りたいのではないでしょうか?

また、リスクのうち一部分しか知らないのではないか、全てを把握できていないのではないかと心配になることもあるかもしれません。

この記事では「共有持分が抱えるリスク」をひとつずつ丁寧に解説します。さらに、トラブルを引き起こす「共有状態を解消する方法」についても具体的に解説します。

共有持分が抱えるリスクとは?

共有持分は「売却や大規模修繕などに全員の同意」が必要であり、「管理行為にも過半数の同意」が必要です。

複数人でひとつの不動産を所有している状態では、誰がどのように管理や修繕をするかで揉めることもあります。

まずは、具体的にどのようなリスクがあるのかを解説していきます。

売却や大規模修繕などには全員の同意が必要

通常の不動産であれば、売却したいと考えたとき所有者の意思で自由に売却ができます。しかし、共有持分の場合そうはいきません共有者全員の同意が必要なのです。

同意を得るだけなら難しくないのでは?という声も聞こえてきそうですが、共有者との意見が合わずトラブルになるケースは多々あります。

例えば不動産をAさん、Bさん、Cさんの3人で持分1/3ずつ相続したとします。

AさんとBさんは売却したいけれど、Cさんは思い入れのある不動産だから売却したくないと言っています。2対1で意見が分かれているということです。

3人のうち2人が売却したいと言っていても、残りの1人が売却に反対しているなら売却はできません。

これは人数が変わっても同じです。共有者10人のうち9人が売却したいと言っても、1人が反対している状況では売却ができないのです。

そして、売却だけでなく大規模な修繕にも共有者全員の同意が必要です。

古い建物を相続したから建て替えたい、大規模な修繕をしたいと思っても、共有者全員が賛成しなければいけません。

このように、共有持分には自己の一存で売却や大規模な修繕ができないという煩わしさが発生します。

管理行為にも過半数の同意が必要

不動産には管理が必須です。

利用方法を決めたり、賃貸に出すならその賃貸借契約を締結したりしなければいけません。これらの管理行為は過半数の同意を得る必要があります。

つまり、共有者3人であれば2人が同意しなければいけません。

売却などと同じように1人の一存では行えないので、共有者で話し合い、誰がどのように手続きを進めていくのかも決めなければいけません。

さらに賃貸借契約を結ぶということは、借り手がいるということです。共有者間で足並みを揃えたうえで借り手との関係も調整しなければいけません。

共有者の人数が増えれば増えるほど関わる人の数が増え、複雑さが増していきます。

保存行為は単独でも行うことができる

共有不動産はさまざまなことに共有者の同意が必要ですが、保存行為は単独でも行えます

例えば掃除をしたり修理をしたりといったことが挙げられます。

単独でも行えるなら制限がなく煩わしさも感じないように思えますが、今度は誰が保存行為をするかでトラブルが起こるケースもあるのです。

保存行為には手間も時間も、ときにはお金もかかるものです。

共有者が3人いるにもかかわらず、掃除や修理をするのはいつもAさんのみということであればトラブルが起こることは想像に難くないのではないでしょうか。

自己の持分のみなら自由に売却ができる

共有不動産は全員の同意がなければ売却ができませんが、自己の持分のみなら自由に売却可能です。

自由にと言うのは共有者の同意を得る必要がないということです。

しかし、自己の持分のみ売却しようとしたが共有者に止められたというケースも少なくありません。そのため共有者に内緒で売却を進めるというケースが多くあります。

通常の不動産よりも価値が下がる

共有不動産は権利関係が複雑であることから自由に扱うことができません。

そのため自己の持分のみ売却しようと考えた場合、通常の不動産よりも価値が下がります。

共有不動産の基本的な査定基準は以下の通りです。

・共有者の人数
・不動産そのものの条件や状態(間取りや築年数、付帯設備の状況など)
・不動産周辺の立地条件(駅からの距離や買い物などの利便性)
・不動産が建つ敷地の接道状況(再建築可能な敷地かなど)

上記の査定基準を鑑みて売却価格は導き出されますが、共有者の人数が大きく足を引っ張ることになります。共有者の人数が多いほど権利関係が複雑になるからです。

例えば3,000万円の不動産をAさんとBさんで1/2ずつの持分で共有していたとします。

Aさんが自己の持分のみ売却する場合、1/2の持分であることから単純に計算すると1,500万円の価値がありそうです。

しかし実際は単純に1/2とはならず、大幅に価値が低くなることを覚悟しなければいけません。

相続などにより権利関係がより複雑になる

共有者がいることでさまざまな制限がかかる共有持分ですが、相続などにより新たな相続者が現れると権利関係がより複雑になります

例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3人で持分1/3ずつ不動産を共有していたとします。

この時点では共有者は3人です。しかし、Aさんが亡くなったことでAさんの持分を息子であるDさんとEさんが相続しました。

すると共有者はBさん、Cさん、Dさん、Eさんの4人です。

もともと足並みを揃えるのが難しいところに、共有者が増えたことでより複雑さを増してしまいます。

さらに時間が経過することでBさんやCさんが亡くなることも考えられます。

そうなるとBさんやCさんの相続者も現れるかもしれません。

このように相続などにより共有者が増えるケースは少なくありません。相続で新たに共有者となった人とは関係が薄く、話し合いがスムーズに進まないということもよくあることです。

共有物分割請求訴訟を起こされる可能性がある

共有不動産をどう扱うのか、共有者間で足並みを揃えるのは簡単なことではありません。そのため意見が合わず訴訟となるケースもあります。

例えばAさんとBさんで不動産を共有していたとします。Aさんは共有不動産を売却したいという意見ですが、Bさんは売却したくないという意見です。話し合いは平行線のまま解決しないので、AさんがBさんに「共有を解消したい」と言いました。

しかしBさんは「共有を解消したい」という要求にも応じなかったため、Aさんに共有物分割請求訴訟を起こされてしまいました。共有物分割請求訴訟とは、共有状態の解消を請求する訴訟です。

売却はせず現状を維持したいし、共有状態も継続でよいと思っていても、共有者が同じ思いでないのなら真摯に対応しなければ訴訟に発展する可能性もあります。

リスクを避けるためにできることは共有状態を解消すること

たくさんのリスクを抱える共有持分ですから、トラブルに巻き込まれたくないという思いを抱くのではないでしょうか。

これらのリスクを避けるためにできることは共有状態を解消することです。

共有状態を解消するには「等価交換」や「換価分割」「持分移転」などの方法があります。状況によっては「自己の持分のみ第三者に売却」「持分放棄」という方法を選択することも可能です。

ここからは共有状態を解消する具体的な方法をひとつずつ解説していきます。

別の遺産との等価交換

共有持分を手にしたきっかけが相続というケースは多々あります。よく分からないまま相続してしまい、リスクを抱えてしまうのです。

しかし共有持分にリスクがあることを知っていて、これから相続をするという段階なのであれば、あらかじめこのリスクを避けることができます。

では具体的にどうしたら良いのか。それは別の遺産との等価交換です。

共有不動産の相続は辞退し、単独所有できる別の不動産もしくは現金での相続を提案します

別の不動産は立地などの条件が悪いように思えたとしても、共有不動産が抱えるリスクに比べると結果的にメリットが上回る可能性があります。

現金であればあと腐れなくトラブルに巻き込まれることもありません。

全部売却による換価分割

共有者間それぞれの思い違いがトラブルとなりますが、誰もトラブルになることを望んでいるわけではないはずです。思いが違うばかりに結果的にトラブルとなっているのです。

保存行為が原因で不公平が生じトラブルになっているということであれば、思い切って全部売却するとトラブルから開放されます

全部売却して得た利益は持分に応じて分割し、公平性を保ちます

共有者に持分を売却する持分移転

共有状態を解消するひとつの方法として持分移転があります。

持分移転とは、自己の持分を他の共有者に売却することです。

共有名義人が2人だった場合、持分移転することで共有状態から開放され単独名義の不動産となります。

これは人数にかかわらず、共有名義人が3人だったとしても可能です。

仮にAさん、Bさん、Cさんの3人で共有していたとします。AさんがBさんに持分移転すると、Aさんは共有状態から開放されBさんとCさんの共有状態が継続します。

土地の分筆

建物は物理的に分けるということができませんが、土地なら分けることが可能です。

そのため共有不動産である土地を分筆して共有状態を解消することもできます。

分筆とは、共有名義で登記されている土地を共有名義人の数に分けることを指します。

分筆をすると新しくできた土地には新たな地番が付けられ、分けた土地のひとつずつに名義人が1人登記されます。

ただし土地が狭くなり過ぎたり、土地の分け方によって道路に面していなかったりすると、単純に土地の面積で考える評価額よりも価値は下がってしまいます。

土地が狭すぎると建ぺい率の問題などから建物を建てることが難しくなりますし、道路に面していないと接道義務を満たせず、こちらも建物を建てることが難しくなるからです。

自己の持分のみ第三者に売却

共有不動産を全部売却するには共有名義人全員の同意が必要です。しかし自己の共有持分のみなら自由に売却することができます。共有持分を売却する主な方法は以下の2つです。

買取専門業者に売却

共有持分はリスクを抱える不動産です。

そのため住む家を探しているような人からのニーズはありません。共有持分の買主となるのは、リスクがあることを知りながらもメリットを見出だせる買取専門業者です。

通常の不動産売買では仲介が一般的ですが、仲介は不動産業者が売主と買主の橋渡し役をすることになります。

そのため買主を見つけるために広告や宣伝をしなければいけませんし、時間もかかります。

しかし、買取専門業者への売却であれば買取専門業者が買主です。

宣伝や広告をする必要がないので、売却活動を誰にも知られることがありません。

さらに買主を見つけるための時間も必要ないので、最短で一週間程度での売却も珍しくありません。

不動産投資家に売却

自己の持分のみを売却するもうひとつの方法として、不動産投資家への売却があります。

不動産投資家は共有不動産を所有して持分に応じた家賃収入を得たり、購入後に他の共有者と交渉して利益を得たりしようと考えます。

しかし、この方法はあまり現実的とは言えません

なぜなら不動産投資家を自分で見つける必要があり、知り合いに不動産投資家がいるというケースは稀だからです。

共有物分割請求を行う

共有持分の抱えるリスクとして、共有物分割請求訴訟を起こされる可能性があると解説しました。

共有不動産の活用方法について意見が合わない、共有状態の解消にも応じないという状況では、訴訟により共有状態の解消を請求されるというものです。

これはつまり、共有名義人であれば共有物分割請求訴訟を起こされる可能性もありますし、自身が訴訟を起こすことも可能ということです。

しかし、いきなり訴訟を起こすわけではありません。話し合いによる共有状態の解消を試み、折り合いがつかなければ民事調停により裁判所が関与します。

それでも解決に至らなければ、最終的に共有物分割請求訴訟となり裁判所がどのように分割して共有状態を解消するのか内容を決めます

共有持分の放棄

共有持分は放棄することが可能です。放棄された持分は他の共有者に帰属します。

2人で共有していた場合、1人が持分を放棄すると放棄された持分はもう1人の持分に帰属します。

3人で共有していて1人が持分を放棄すると、放棄された持分は残された2人の持分割合に従って帰属します。

放棄は他の共有者の同意なくいつでも自由にできますが、実際には所有権移転登記が必要となり、この手続には他の共有者の協力が必要となります。

さらに税金についても注意しなければいけません。持分の放棄は税法上、贈与とみなされてしまうからです。放棄した持分を取得した人に贈与税が課されるおそれがあります。

まとめ

共有持分にはいくつものリスクがあります。個々の一存でできることには制限があり、共有者間で意見を揃えることの難しさからトラブルへと発展します。

トラブルが大きくなる前に、複雑さが増す前に、共有状態を解消するのが賢明です。

共有状態の解消には「換価分割」「持分移転」「現物分割」「自己の持分のみ第三者に売却」「共有物分割請求」「共有物放棄」といった方法がありますが、この中で他の共有者と関わらずに共有状態を解消できるのは「自己の持分のみ第三者に売却」する方法です。

共有状態を解消する方法をそれぞれ検討しても解決への糸口がつかめない、内緒で共有状態を解消したいということもあるかもしれません。

他の共有者と関わりたくないということであれば、「自己の持分のみ第三者に売却」という方法を前向きに検討してみてはいかがでしょうか

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