【正しい事故物件の売り方】過去に無理心中があった不動産を売却するときの注意点

事故物件 売却 無理心中

無理心中という痛ましい事件があった家の売却に、お心を痛めてはいませんか?

ご家族にとって悲しい出来事があった家を手放そうと決意するまで、さぞお悩みになったことと思います。

本記事では、過去に無理心中があった事故物件を売却するときの注意点についてご紹介します。

無理心中があった家の売却にお困りの人は、ぜひ参考にしてください。

無理心中があった家を売却するときの注意点

合意のない心中事件である「無理心中」。

無理心中には「一家心中」「合意心中」「ネット心中」など、様々なケースがありますが、どれも「殺人(同意殺人)」に分類され、悩ましいことではありますが、自殺の中でも他殺に近い位置づけとして認識される傾向にあります。

そのため、無理心中があった家は、事故物件の中でも扱いが難しく、購入に抵抗感を抱く買主も多いのが現状です。

無理心中があった家の特徴3つ

一般的に、無理心中があった物件は「事故物件」に該当し、通常の物件と比較して売れにくいとされています。

事件性が高い無理心中は、風化しにくく、なかには数年経っても周辺住民に噂されたりSNSで拡散されたりなどして、売却できずにいつまでも残ってしまうことも否定できません。

では、事件が風化しにくい無理心中事件があった家は、売却においてどんな特徴があるのでしょうか。

特徴1.購入希望者が現れにくい

まず最大の特徴としては、購入希望者が現れにくいという点

無理心中があった家は、事故物件いわゆる心理的瑕疵物件に該当します。

心理的瑕疵とは、買主が心理的な面で物件購入に抵抗を感じてしまう状況のこと。

心理的瑕疵は無理心中のみならず、家の隣に墓地があったり近所に暴力団構成員が住んでいたりする状況を指すことがあります。

一般的に心理的瑕疵物件に該当すると、物件を宣伝する情報欄に「告知事項あり」と記載されます。

ここで購入希望者が「昔何かあったな」と察して、購入を取りやめることも少なくありません。

特徴2.売却価格が下がりやすい

購入希望者が中々現れないのであれば、値下げせざるを得ない状況となります。

事故物件は通常物件と比較して2~5割ほど値が下がる傾向にあるのが、一般的です。

2~5割ほど安くなるとすると、値下げする金額は単純計算すると1,000万円で売れる物件であれば、500~800万円ほどに値が下がる計算となります。

値下げ幅が大きいのは、買主の心理的嫌悪感が深く関係します。孤独死や病死などの自然死の場合は、買主の抵抗感がさほど強くないため2割程度の値下げで済みます。

しかし、自殺や他殺などの場合は、購入に踏み切れる人が多くはないため、5割ほど値下げしなければいけないケースもあります。

無理心中の場合、複数の人が亡くなっていることが多いため、心理的嫌悪感が強くなる可能性が高いでしょう。

特徴3.事実を隠した場合は売却後に損害賠償の可能性も

売却を焦るあまり過去の出来事を隠して売却してしまうと、売却後に損害賠償を請求される可能性があります。

過去の無理心中事件を知っていながら黙って買主に売却した場合は、契約不適合責任という売主としての責任を問われることがあります。

契約不適合責任は、以前「瑕疵担保責任」という名称でしたが、2020年4月に法律が変わり、名称も「契約不適合責任」へと変わりました

この契約不適合責任は、買主の権利を保護するための法律で、売主が買主に対し不利益をもたらした場合、売主が責任を負う法律です。

契約不適合責任については、以下のページが参考になりますので、ぜひチェックしてみてください

参照:契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いをわかりやすく解説!売却時の注意点なども説明|イエコン

無理心中があったことを隠して売却することのリスク

無理心中事件があった家は売りにくいため、過去の出来事を隠して売却したいと考える人も多いと思います。

少しでも良い条件を提示して売却したいと考えるのは、当然のことです。

しかし、過去の心中事件を買主に隠し、売却すると売主責任が問われるともご説明しました。

では、仮に事実を隠して売却した場合、具体的にどんな責任を負うことになるのでしょうか。

ここからは、無理心中があったことを隠して売却した場合の売主リスクについてご紹介していきます。

裁判にまで発展するリスク

過去の出来事を隠して売却した場合、買主から訴えられる可能性が高いです。

前述したとおり、無理心中は心理的抵抗感が強い事件性の高い事故のひとつ。

無理心中に対して何も感じない人の方が少ないと考えられます。

そのため、事実を隠して売却することは、リスクがかなり高いと言えます。

過去の裁判例をみると、買主が隠された事実を知るのは「近隣住民」もしくは「修繕業者」などから噂を聞かされることが多いようです。

心中事件は周囲の人へ強い印象を与える事故。

何らかの形で事実を知った買主が、裁判所に訴える可能性は高いと考えておきましょう

損害賠償請求や契約を解除される可能性

もし、裁判にまで発展した場合は、買主へ損害賠償の支払いや売買契約の解除を求められる可能性があります。

損害賠償請求が認められると、売主は買主に対して事故現場の解体費用や修繕費を支払う、または売却金の一部を買主に返還しなければいけません

もしくは、売買契約を白紙に戻したいと要求される可能性もあります。

理不尽に感じる人かもしれませんが、裁判で売主責任が認められると上記の要求を拒否することはできません。

この売主責任は売買契約を済ませた後でも起こり得る出来事です。

自殺が原因で裁判にまで発展したケース

自殺ないし他殺と判定される無理心中。そこで、居住者の自殺が原因で裁判沙汰になったケースを紹介します。

平成21年6月に東京都で発生した裁判例です。

賃貸住宅を購入した買主は、過去に建物の入居者家族が睡眠薬で自殺を図っていたことを知りました。

しかし、入居者は自殺を図ったものの病院に搬送され、他界。この事実は入居者家族しか知らなかったため、告知は行われませんでした。

買主は売主に対して、購入代金の1/5である4400万円の損害賠償を請求しました。

しかし、裁判所は売主に対し、買主へ損害賠償として売却金の1%である220万円の支払いを命じたのです。

居住者が居室で睡眠薬による自殺を図り約2週間後に病院で死亡した

売主から土地及び建物を2億2千万円で購入した買主が、購入後、建物内で自殺をした者がいることが判明したため、隠れた瑕疵が存在する又は、事前に売主から何の説明もなかったとして、売主に対して4400万円の損害賠償を請求した事案において、売買金額の1%にあたる220万円の損害額が認められた

東京地判平21・6・26|不動産適正取引推進機構

売主が知らなかった事件であったにもかかわらず、損害賠償を支払うことになった原因が一つあります

それは、契約書で「売主は、本契約締結時に瑕疵の存在を知らなくても責任を負う」という取り決めをしていたことです。

しかしながら、4400万円の請求が減額され220万円になったという点にも着目したいところです。

この事例は「自殺があったことを知る由もなかった」「室内ではなく病院で息を引き取ったため建物に損傷はなかった」という点から、当初の請求額よりも減額されることになりました。

無理心中があった事故物件をスムーズに売却するために必要な3つのこと

過去の判例をもとに売却に必要がポイントは何か学んでいきましょう。

ここまでご紹介してきた事例から、無理心中があった事故物件をスムーズに売るためのポイントは、以下の点が重要だと言えます。

  • 告知を行う
  • 事故の痕跡をなくす
  • 契約書に瑕疵担保責任を負うという項目を盛り込まない

それでは、上記のポイントについて詳しく解説していきます。

売却前に告知は必ず行う

売主にとって言いにくいことではありますが、買主には、きちんと過去の事実を伝えましょう

事実をありのままに伝えることを告知といい、売主には告知する義務があります。

確かに告知することで、売りにくいというデメリットが出てきますが、同時に売主が説明責任を果たすことで、裁判になっても売主の責任が問われにくくなるというメリットも生まれます

では、告知はどのように行えばいいのでしょうか。告知の方法についてご紹介します。

事故内容を告知書で正しく伝える

告知するときは、口頭ではなく書面で確実に伝えましょう

売買契約の際に、買主に問われ口頭で事実を伝える場面も出てきますが、一般的には告知書という書面を交付します。

告知書は売買契約の前に配布する書類のひとつで、建物や敷地内にある瑕疵(欠陥や損傷)部分を記す書類です。

告知書は、不動産会社で作成してもらうことが可能です。

素人が作成するのは、簡単ではありません。法的効果を高めるためにも、不動産会社に正しい内容で作成してもらいましょう

倉庫や車庫で起こった無理心中も告知の対象

もし、無理心中が母屋ではなく倉庫や車庫で起こったとしても、告知の対象となります。

居住空間以外の場所で発生した事件は、一見告知しなくても問題はないと思いがちです。

しかし、問題があるかどうかを判断するのは買主であるということは、心に留めておきましょう。

買主が「例え倉庫で発生した無理心中でも居心地が悪い」と感じてしまえば、売主の責任が問われます。

また、敷地を分筆し、別々の買い主に売却した場合も、告知義務が発生しますので、注意してください。

告知すべきかどうか判断に迷った場合は、自己判断せず事故物件取引に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。

事故の痕跡をできるだけなくす

事件があった当時の状況をそのままにしている場合は、清掃や修繕、解体などをするのもひとつの手です。

ケースによっては、壁や床に体液痕が残ったり、自殺器具により柱が傷ついてしまったりすることもあります。

買主の心境ひとつで心理的瑕疵物件か否かが決まります。

購入への抵抗感を和らげるために、現場の痕跡をできるだけなくしましょう

特殊清掃を活用する

売却前に見た目を綺麗にするため、ハウスクリーニングをかけるのが一般的です。

しかし、血液やキズなど自殺の痕が残っていた場合は、通常のハウスクリーニングでは対応しきれないことがあります。

このような場合は、特殊清掃業者に依頼しましょう

特殊清掃では、遺体の腐敗により損傷を受けた建物を原状回復させることができます。

自殺の痕跡を消すだけでなく遺体の除去や消毒、害虫駆除まで幅広い清掃業務を請け負ってくれます。

依頼すれば、お祓いや納棺までも行ってくれるとても便利な業者です。

特殊な清掃作業が必要な分、費用も高くなりますが、依頼者のお困りごとを何でも相談できますので、こちらも検討してみてください

解体は不動産会社と一緒に進める

ただし、清掃や修繕ではなく解体するときは注意が必要です。

土地の状況によっては解体すると固定資産税の減税措置が受けられなくなり、税金が高くなる可能性もあります。

不動産会社では、事故の痕跡をどのように消せばいいか相談を受け付けています。

このようなお悩みを抱えているときも、ぜひ不動産会社を活用してみてください

契約書に瑕疵担保責任を負うという特約を盛り込まない

契約書の特約ひとつで売主の責任が問われることがあります。

特約とは、契約書に盛り込む特別な約束のこと。

過去の判例でもご紹介したように「瑕疵担保責任を負う」と契約書に記載した場合は、売主が悪くなくとも責任を負わされる恐れがあります。

瑕疵担保責任とは、建物に欠陥や損傷があった場合に、売主は責任を負うというもの。

2020年に法改正があり、瑕疵担保責任から契約不適合責任という呼び方に変わりました。

契約書の内容は強く、売買契約後にも契約内容に縛られることがあります。

そのため、契約書に特約を盛り込むときは、事前に不動産会社に相談するのがベスト

売主にとって不利な内容ではないか、チェックしてもらうことが大切です。

まとめ

事件性が強い無理心中は、周囲の人への印象が強く、風化しにくい事故のひとつ

過去に無理心中があった家は、購入希望者が現れにくいため、価格を安くせざるを得ないのが現状です。

だからと言って、過去の出来事を隠して売却すると、後で買主から訴えられる可能性もあるので、注意が必要です。

売主責任を回避するためには、告知や清掃、解体などを行うのが得策です。

また、契約書に「瑕疵担保責任を負う」などの特約を結ばないようにしましょう。

事故物件の取り扱いに長けた不動産会社では、売主のリスクを軽減させるため、様々な対策を講じてくれます。

扱いが難しい無理心中物件を売却するときは、自己判断せずに事故物件の取引実績が多い不動産会社に相談することから始めましょう

無理心中があった家を売るときによくある質問

無理心中があった家は売却できる?

無理心中があった物件は「事故物件」に該当し、通常の物件と比較して売れにくいです。ただし「絶対に売れない」わけではないので、安心してください。

無理心中があった家はなぜ売れにくい?

無理心中があった家は「購入希望者が現れにくい」「売却価格が下がりやすい」といった理由から、売却が困難です。

無理心中があった家を売る時の注意点は?

告知義務を果たす必要があります。口頭ではなく、事故内容を告知書で伝えるようにしましょう。告知書の作成が困難なときは、不動産会社に作成してもらうとよいです。

無理心中があったことを隠して売却してもいい?

いいえ、絶対にやめましょう。もしも「無理心中があった事実」を隠して売却すると、裁判に発展し損害賠償を請求される恐れがあります。

無理心中があった家を売るときにすべきことは?

「売却前に告知は必ずおこなう」「事故の痕跡をできるだけなくす」「契約書に瑕疵担保責任を負う、という特約を盛り込まない」ことが大切です。

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